いよいよ仕込んだ「醤油麹の元」を醗酵させる重要な段階。ここは自宅で一人で行う。昨年の経験者が書いてくれた記録だけが頼り。
米袋に入れて持ち帰った麹をそのまま電気マットに乗せ、上から毛布で覆って保温。最初は米袋の上に温度計を置いて、外側の温度を測定。1時間おきに温度をチェックしながらヒーターの温度や毛布の厚さを加減する。
目標温度は30℃から40℃の間。低すぎると醗酵が進まないし、高すぎるとコウジが死んで納豆菌などが増える。
オリンピックを見ながら夜通し付き合っていたが、温度が上がり始めたのは明け方になってから。
そこでヒーターをOFFにし温度計を麹の中に差し込む。24時間経過以降は毛布も外してもっぱら放熱に努めることになった。
最初のうちはうまく温度管理が出来て、28時間後には白い菌糸が目に見えて広がり、44時間後には表面全体を菌糸が覆った。
気分良く温度管理を続けていたが、45時間を越えたあたりから温度が上昇し、発熱が強くてどうやっても下がらなくなってしまった。団扇であおぎながら かき混ぜたりしても、2,3℃下がる程度。すぐに元に戻る。つきっきりで頑張るが40℃付近を維持するのがやっと。
さらに、発熱が強くなった頃から、香りにも異変が起きた。最初酸っぱい様な香りかなと思っていたが、だんだんと納豆の香りになってきた。いやー、やってしまったなー。すぐに止めるべきか迷ったが、温度さえ下げられたら回復できるかもと思い、さらに継続。でも結局十分下げることが出来ずに67時間で止めた。その間、納豆の香りがますます強くなったので、結果的には温度が暴走し始めたところで止めればよかったなと反省。
終わったところではコウジの白い菌糸の量は少なく、納豆菌が優勢になってしまったか。
大豆を一粒食べてみたらやや酸っぱい味がしたので、ひょっとすると乳酸菌かも知れない。
どちらの菌にしても醗酵食品に利用されているもので、アミノ酸を生成する力はあるだろうと思い、ダメ元で塩水を5L加えてこのまま保管熟成することにした。おいしい醤油にはならないだろうけど、1年後に他の4人のお手本と比べさせて貰いたいなと思う。
今回の様なことにならないようにするには、44時間後のように菌糸が広がったところで止めるか、または薄く広げて醗酵させることで温度が上がりにくくするかが考えられる。たぶん後者の方法でじっくり醗酵させて、良く多糖やタンパク質を分解させるのがいいだろう。
醤油は味噌より難しい。容器を含め他の人が成功したやり方をよく真似てやらないと、なかなかうまく行かないことを実感した。