今日は作業を休んで久しぶりに東京へ。東洋一の青果物の卸売市場という、大田市場を見学させて貰った。
普通は一般人は立ち入り出来ないが、友人が東京青果(株)という日本一の卸売会社の役員をやっているため、彼の案内で内部に入れて貰えた。
とにかく圧倒されたという一言に尽きるが、その大きさ、物量、取引のスピード、搬入搬出の混雑など、日本の食卓を支える大動脈のすごさを実感した。
昨夜のうちに運び込まれた野菜や果物のうち9割は既に買い手が決まっているそうだが、1割ほどはセリが行われる。
朝7時頃に入った時には丁度セリが行われていて、ここはレタス。
右端の赤い帽子の人が都の資格を持ったセリ人。仲買人は帽子に4桁番号をつけて、指で値段を指して競っていく。数分で全部売れてしまった。

売れた箱の札には、4桁の仲買人番号が書かれて、このあと出荷場所に運ばれる。

出荷場所には、仲買業者毎に分けて積まれていく。

レタスが終わると、すぐ横のさつま芋のセリ。さつま芋は最近需要が急拡大しているそう。これも2,3分で全部売れた。

さくらんぼやら、高級メロンやらと、どんどんさばかれていく。
こちらはりんご。仲買人も人数が多く、セリ担当者も多い。
後ろにサンプルが多種類置いてあり、セリが始まる前に仲買人が品定めしていた。同時進行で、ここも数分で完売。

こちらは柑橘類。

ここまでは量の多いものだったが、市場の一角には第7部と言う特殊農産物を扱う部分があり、有機野菜や、地方のブランド野菜など、こだわりの野菜も扱っていた。

地方の小さな生産者グループから特徴のある野菜を仕入れ、それを求める人へと仲介している。例えば下のさつま芋はこれだけしか量がなかったが、人気のあるブランドだとのこと。買った仲買人番号が書かれている。
他にも北海道産の有機の玉ねぎなども数箱置かれていた。

夜中に運び込まれた青果物が朝の30分程度の間に全て売り先が決まり、その後搬出されて市場は夕方には空っぽになる。それを毎日繰り返しているとのこと。
片隅に今日の搬入量(販売量)の集計表があった。

左の列の野菜が1254t、右の果物が343t。イメージすら出来ない量だが、これでも今は端境期で少ないらしい。軽トラで何杯か、などと言う私の貧困な発想ではついて行けない。
ふだんは2反もない小さな有機の畑を耕して、出来た野菜を自分でお客様に届けているが、これは例えると末梢の一番細い毛細血管の部分に血を流しているような仕事。
それに対して、今日見た世界は日本の心臓部から大動脈にあたる巨大物流。
どちらも大切だが、遠く離れた両対局にある別世界。と最初のうち感じていたが、上記の第7部をみて考えが変わった。
この心臓部を動かしているのはお役所ではなく民間企業であり、(売り上げを伸ばす目的で)細かい特殊なニーズにも出来る限り対応しようと努力している。毛細血管も静脈を通って心臓につながるように、努力をすれば何かつながり方があるのかも知れない。