今年の初めに新しい畑も借りて新規就農し、ある程度慣れてきたところで技術や経営を見直したいと思い、小田原有機の里づくり協議会主催の視察研修に参加した。
行き先は、藤沢市の相原農場と、大和市のなないろ畑。
貸し切りバスで朝8時集合、18時半解散。28名が参加した。
相原農場は1980年から有機農業をしているベテラン農家で、研修生も多く受け入れるなど有名な農家。技術的に大変参考になった。基本の一つは、植木の剪定くずと豆腐屋から出るおからを積み上げて大量に完熟堆肥を作って使うこと(写真が堆肥場で、左へ行くほど発酵が進んだもの)

もう一つは、作付は一度に全面に行わず、必ず草地を残すことで天敵昆虫の居場所を作ること。畝の間に草や緑肥を育て、そこで土作りをしている。

話としては、有機農業の本などにも良く出てくる事だが、露地でネットも使っていない小松菜がほとんど虫に食われていないのを見ると、基本の重要性が強く印象に残った。
考え方としては差はないので、堆肥についてはしっかり完熟させることや、畝の間に必ず草地を残すことなど、はっきり意識して行い、野菜の質の向上を目指したい。
二件目のなないろ畑は経営のやり方が珍しく、消費者が野菜の栽培や出荷(仕分け)作業などに共同で参加しており、コミュニティを作ってやっている。また、消費者が株式も持っている。共同の自給体制と言えるかも知れない。
あしがら農の会も、田んぼの会、大豆の会などのグループで栽培して作物は分配するという形で活動しており、なないろ畑に類似している。
このような共同参加形式は、全員にメリットおよび公平感がないとうまく行かないと思う。
例えばねもり農園に消費者の一部の人が時々援農に来てくれるという事を想定した場合、作業の効率化により規模拡大出来たり、野菜の質の向上が出来ると言う形で消費者にもメリットが出ると思うが、作業に参加した人とそうでない人との公平感をどのようにして保つかは難しい。ゆるい形でボランティアとして受け入れるならいいかも知れないが、これは中長期の課題として色々な人にも意見を聞きながら考えたい。
技術面でのなないろ畑の特徴は、基本的にネットトンネルで虫の害を防ぐこと。トンネルの間に空き地を作り、そこで小麦を栽培して土作りをすると言う点。肥料として米ぬかも使うなど、相原農場とはかなり違う点もある。共通するのは、畝間を利用して土作りをする点。畑全面に緑肥を栽培するよりも、この方が天敵昆虫や微生物を増やす点で優れているのかと思った。

今日の視察は、諸先輩農家の話を直接聞き、畑を見ることが出来て大変有意義な一日だった。